老後の準備、できていますか?
「老後2000万円問題」でも取り沙汰されたように、現役引退後の長い老後生活には公的年金に加えて、自助による負担が避けられません。国が整備した優遇制度、「確定拠出年金」を理解して、確かな老後の安心を築きましょう。
この記事では、税制優遇のメリットを活かし、将来の年金資産を増やす方法を詳しく解説します。また、価格変動のリスクや引き出し制限にも注意が必要です。お金について学び、知識を深め、賢い老後の準備を始めましょう。
- 国が整備した年金制度のひとつ
- 税制優遇が受けられる
- 60歳まで引き出せない
- 安心の老後生活のためにオススメ
確定拠出年金とは?
概要と変遷
確定拠出年金とは、個人が自主的に加入し、退職後の老後資金を積み立てる仕組みです。日本の年金制度の一環として、個人の選択肢として提供されています。
確定拠出年金は、将来の年金受給額が運用成績によって変動するため、運用手腕や資産運用の知識が求められる制度です。そのため、個人が積極的に資産運用を行いながら、老後に備えることができるのが特徴です。
企業年金制度は、確定給付型と確定拠出型の2つに分けられます。
確定給付型は1960年代に始まり、企業が積み立てから運用までを行い、社員には運用の心配がないメリットがありました。しかし、1990年代のバブル崩壊により多くの企業年金が財政難に陥り、約束された金額の給付は企業の大きな負担となりました。
一方、確定拠出型は2001年に導入され、「日本版401k」とも呼ばれます。この制度では自己責任型の運用が特徴で、運用指図を個人が行います。資産保全体制が強化され、透明性が高まりました。
確定拠出年金の種類
確定拠出年金には、
・【企業型確定拠出年金(企業型DC)】
・【個人型確定拠出年金(iDeCo)】
の2種類があります。
企業型は、その会社独自の制度で、制度導入していない会社もあります。企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員も自身の掛金を上乗せすることができる制度です。
一方、iDeCoは、ほぼすべての現役世代が対象です。個人が自主的に加入し、自身の老後資金を積み立てるための制度です。
両者とも運用成績によって将来の受給額が変動し、老後の生活資金を効果的に増やす手段として重要な位置を占めています。
また、離転職により、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)は持ち運びすることができます。
企業型と個人型(iDeCo)の違い
企業型の特徴
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、従業員が勤務する企業が導入する制度です。以下に企業型確定拠出年金の主な特徴をご紹介します。
- 従業員が自動的に加入するケースと選択型のケースがある: 企業型DCでは、従業員が自動的に加入する場合と、従業員が選択的に加入する場合の両方があります。自動加入の場合、従業員は積み立てる一方で、選択型の場合は従業員が自身で加入を決定します。
- 企業と従業員が共同で資産を運用: 企業型DCでは、企業が従業員のために掛金を積み立てる一方、従業員も自身の掛金を加えて資産を運用します。運用成績によって将来の受給額が変動するため、資産運用に対する意識が求められます。
- 税制優遇措置を受けられる: 企業型DCでは、運用したときの運用益が非課税となるほか、受け取るときには退職所得控除や公的年金等控除の対象になります。さらに、マッチング拠出による掛金に対しては全額所得控除の対象となります。
iDeCoとは
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人が自主的に加入する制度で、以下にその特徴をご紹介します。
- 自主的な加入が可能: iDeCoは個人が自主的に加入することができる制度です。現在はほぼすべての現役世代が対象で、企業に勤めていない個人や、企業型DCに加入している場合でも利用できます。
- 自身で資産を運用: iDeCoでも加入者自身が年金資産の運用を行います。運用商品を選び、資産配分を決定することで将来の受給額を形成します。
- 税制優遇措置を受けられる: iDeCoも企業型DC同様、運用した運用益が非課税となります。また、年金の受給時には税制優遇が受けられるため、老後資金の効果的な節税対策となります。
加入者の推移
確定拠出年金制度の導入以来、加入者の数は着実に増加してきました。
特に、iDeCoにおいては、2016年以降、資金計画を意識する人々によって加入が増えています。
企業型確定拠出年金(企業型DC)も、企業の福利厚生制度として導入する企業が増え、加入者の推移が注目されています。
確定拠出年金の加入者数の推移(万人)
年度 | 企業DC | iDeCo |
---|---|---|
2018 | 649.9 | 85.4 |
2019 | 690.5 | 121.0 |
2020 | 725.1 | 156.3 |
2021 | 750.2 | 193.9 |
2022 | 782.0 | 238.8 |
2023 | 805.0 | 289.9 |
確定拠出型年金の3つ優遇メリット
【拠出】全額が所得控除
確定拠出型年金では、毎月の掛金が全額所得控除の対象となります。これにより、所得税や住民税の軽減効果が得られ、手取り収入を増やすことができます。
【運用】利益は全て非課税
運用した年金資産の利益も全額非課税となります。一般の金融商品と異なり、運用益に対する税金がかからないため、資産の増加が税制面でも優遇されます。
【受取】税制優遇がある
確定拠出型年金の年金受給時には、退職所得控除や公的年金等控除の対象となり、受け取る年金額が軽減されます。この税制優遇により、老後の生活費を効果的に確保することができます。
確定拠出型年金のデメリット
価格変動のリスク
確定拠出型年金は、運用する金融商品の価格変動によるリスクが存在します。投資先の市場状況や経済の変化によって、運用益が一時的に減少する可能性があります。したがって、将来の退職時に受け取る年金額が予測困難であることを考慮し、リスクを理解した上で運用戦略を検討する必要があります。
60歳まで引き出せない
確定拠出型年金の特性上、年金資産は原則として加入者が60歳に達するまで引き出すことはできません。これは将来の老後生活を計画する上で考慮すべきポイントです。万が一、急な資金需要が発生した場合にも、年金資産を即座に引き出すことは難しい点に留意が必要です。
一方で、強制的に拠出し、余剰資金を確実に運用することはメリットと捉えることもできます。浪費を防いで、無駄遣いができなくなります。
以上のデメリットを踏まえながら、確定拠出型年金のメリットと総合的に評価し、自身のリタイアメントプランに適切に組み込むことが大切です。
確定拠出型年金と公的年金の両立で安心老後へ
公的年金
確定拠出型年金と並行して、公的年金も老後の資産形成において重要な要素です。公的年金は国が運営する基礎的な年金制度であり、一定の条件を満たすことで支給される年金です。
確定拠出型年金と比較して、公的年金は一定の収入を確保するための柱として位置付けられています。
安定的な老後生活
確定拠出年金と公的年金を組み合わせることで、安定的な老後生活を築くことが可能です。
公的年金の基礎的な支給額に加えて、確定拠出型年金の運用成果による年金を受け取ることで、退職後の生活における経済的な不安を軽減することができます。
【確定拠出年金】まとめ
確定拠出型年金は税制優遇の恩恵を受けつつ、老後の安定を目指す重要な手段です。
運用成績による非課税の利益や所得控除、受給時の税制優遇を活かし、確実な退職後の生活を築くことができます。
ただし、価格変動や引き出し制限も考慮し、バランスの取れた老後資金の形成を心掛けましょう。今から準備を始めて、安心の老後を実現しましょう。